黄泉がえり


親愛なる君へ

映画「黄泉がえり」を観ました。
ある時、阿蘇山のふもとで死んだ人が大勢よみがえる。
それもゾンビやおばけのようなものでなく、死んだ当時の姿、記憶を持ったまま。
そんな突拍子もないストーリーなのですが、生と死について考えさせられる素敵な映画でした。
心から愛する人を失ってしまった人々の、生き返って欲しいという強い想いに呼応するように黄泉がえる人々。
でも大切な人の帰還に喜ぶ人々だけでなく、素直に喜べない事情をもつ人々もいます。
黄泉がえった人たちも、黄泉がえったからハッピーかというと、必ずしもそういうわけでもない。
黄泉がえっても自分の居場所がない人も多い。
そんな「もし愛する人が黄泉がえったら」というテーマについて考えさせてくれました。でもこの映画の根底には、「それでも愛する人にまた会いたい」という純粋な想いを大切にする気持ちが流れています。
そのやさしい気持ちが観ていて心地良かったです。

結局黄泉がえった人々は３週間ほどで消えてしまいます。
多くの人々の再びの別れがとても切ない。
愛する人と、再び、そして今度は永遠に別れなければならない。
どんなに想っていても、言葉も届かない、何も伝えられない、どこにもいない。
１回目の死の時に伝えられなかったことを伝えても、２回目の別れが悲しくないということではない。
やっと会えたからこそ、再び別れる悲しみは大きい。
主人公の二人は、長いこと素直に認められなかったお互いへの想いが、気持ちがやっと通じ合った直後に永遠に別れることになってしまいます。
生き残った主人公の男が最後に見出す希望の言葉がとても印象的でした。
「たった１時間でも１分でも１秒でも、愛する人と心が通じ合ったと感じることができたなら、それは幸せなことだ。その想いがあるから、自分はこれからも前を向いて歩いていける。」
とっても優しい映画でした。

P.S.
柴咲コウさん演じるRUIのライブでの３曲は、どれも切なくて心に響く歌です。
実際にＣＤも出てるので、是非聴いてみて。