すべての経験は「来たるべき日」の伏線だ


親愛なる君へ

会話を弾ませるには、いろいろな経験が必要です。
そこから話が膨らんでいきます。
そういう意味では、全ての経験は会話の伏線なのです。
昔マックス・マリニという奇術師がいました。
"Magicians of Magician"とまで言われた彼は、常日頃から奇術の伏線を張ることを怠りませんでした。
ある日、彼がとある家庭に招待された時、隙をみて壁にかけてある絵の裏にハートのAを忍ばせておきました。
彼はいつか再びその家に招待された時に、一組のトランプからハートのAを消してみせ、そしてあたかもそれが瞬時に移動したかのように壁の絵の裏からハートのAを取り出すのです。
もしかしたら２度と招待されることはないかもしれません。
それでも、その来たるべき日にそなえて、彼は行く先々でいろいろな伏線をしかけてきたといいます。
すべては「来たるべき日」のための伏線なのです。

ところで、今日は初体験をしてしまいました。
初体験と言うほど大したことじゃないかもしれません。
いつもリクルートで学生と会うときに使う代々木の喫茶店に、初めて仕事以外で行ってきました。
一度オフタイムに行ってみたいと思っていたので、新宿で洋服を買いに行ったついでによってきました。
そこで新たな発見がありました。
あの店、実は来るのは常連さんばかりです。
自分ではかなりの常連さんかと思ってたんだけど、まだまだひよっこだったようです。
僕達が行くといつもガラガラで、正直来年は閉店してるかもしれないと、毎年リクルート活動が終わる頃に思っていたんだけど、翌年行くと、ちゃんと続いててホッとしてた。
でも、驚くことに昭和60年からずっと続いてるそうです。
僕達の会社よりも歴史が古いとは、あなどれないヤツ！
そんな感じです。

今日はマスターとゆっくりおしゃべりして来ました。
あそこのマスターはいい人だね。
本当に気さくにおしゃべりができて、一人で行っても全然苦になりません。
君も「今度はプライベートの時間に来ます」って言ってたっけ。
悪いけど、僕が一歩リードです。
今度、君と一緒に行く頃には、マスターと僕は旧知の仲かもしれません。
そこでまた、君を驚かせようと思います。
これも君との「来たるべき日の伏線」です。

P.S.　君の驚いた顔も好きだよ。